京都大学大学院理学研究科化学専攻 京都大学理学部化学教室

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固体化学分科

「固体化学(Solid State Chemistry)」とは、無機材料を対象に、元素の特性を活かし、興味深い物性を示す物質を、様々な手法を駆使して合成し、その物質を理解する、更にそこで得られた知識を基に新しい物質を設計・探索してゆく学問です。

「物性」とは物質の示す興味深い特性を意味しますが、私たちはこの物性を「機能」と解釈し、世の中の役に立つ、人々の生活を便利にするような特性としての一面も重要視したいと考えています。そのような新しい機能性材料を開発する指針を得るために、基礎物性を評価し、合成手法を発展させ、そのような基盤研究を基に新材料開発を目指していきます。

「固体化学」の研究では、物質の結晶構造やバンド構造を「美しい」と感じ、多彩な物性に「驚きと不思議さ」を感じ、新しい物質を生みだす「喜び」を感じることができるのです。

新物質探索

化学式ABO3で表されるペロブスカイト構造は、AサイトとBサイトの一部のイオンを置換すると様々な秩序構造が発現して興味深い特性を示します。私たちの研究室では、Bサイトのイオンが秩序化し、強磁性と強誘電性を併せ持ったマルチフェロイック物質Bi2MnNiO6や、Aサイトのイオンが秩序化して強磁性から反強磁性までを制御することが可能なCaCu3B4O12など、幾つもの新物質を合成することに成功しています。

新機能探索

チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)は、エレクトロニクスの部品のほか、人工宝石などにも広く使われている材料ですが、アルゴンイオンビームを結晶表面に照射すると、青色の発光が起こることを見い出しました。照射するビームを制御することで、局所的な還元領域を作り出し、微小な青色発光素子を作成することも可能になります。このような新機能は新しい酸化物エレクトロニクスへと広がっていくことが期待されます。

多彩な物質合成手法

新しい機能を持った新物質を開発していくために、私たちのところでは、高圧合成法、エピタキシャル薄膜作成法、ナノ微粒子合成法を駆使します。これらの特殊な合成手法は、非平衡状態の物質までを含めた新物質の探索に威力を発揮します。

(最終更新日;2014年12月01日)