京都大学大学院理学研究科化学専攻 京都大学理学部化学教室

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丸岡啓二教授 紫綬褒章受章

この度、学術の向上発展のため顕著な功績を挙げられたことにより、丸岡啓二教授が、平成23年11月3日に紫綬褒章を受章された。以下に丸岡先生のご略歴および業績等を紹介する。

丸岡先生は、昭和51年京大工学部をご卒業後、同大学大学院工学研究科を経て、同55年にハワイ大学にてPh.Dを取得された。その後、同55年名大工学部助手、同60年名大工学部講師、平成2年名大工学部助教授、同7年名大大学院工学研究科助教授、同7年北大大学院理学研究科教授、同12年より本学大学院理学研究科教授を務めている。その間、平成17年から21年まで特定領域研究「炭素資源の高度分子変換」の領域代表者、平成21年から特別推進研究「高性能有機触媒プロジェクト」の研究代表者、平成21年から独立行政法人日本学術振興会学術システム研究センター専門研究員を努めるなど、我が国の学術研究の発展に大きく貢献された。

丸岡先生は、永年にわたって有機化学の教育・研究に務め、特に分子認識化学の概念を組み込んだ精密分子触媒の開発を行い、先駆的な研究業績を数多く挙げられた。例えば、平成10年から着手した「金属を用いない有機分子触媒の化学」は、今では大きな学問分野になっており、人工アミノ酸の大規模合成に有用な高性能有機触媒である「丸岡触媒®」を生み出す等、この新しい研究領域における国際的なパイオニアとして広く認知されている。独自の発想による幅広い研究を展開され、現在までに400報を超える原著論文や100編を超える総説・著書を出版され、精密有機合成化学研究における基礎科学の発展に多大な功績を挙げられた。これらの一連の研究業績により、第35回 日本化学会進歩賞(1986年)、第17回 井上学術賞(2001年)、第34回 市村学術賞(2002年)、有機合成化学協会賞(2004年)、名古屋シルバーメダル(2004年)、第5回 グリーン・サステイナブル・ケミストリー賞 文部科学大臣賞(2006年)、第59回 日本化学会賞(2007年)、モレキュラー・キラリティー賞(2007年)、ノバルティス・レクチャーシップ賞(2007/2008年)、第63回 中日文化賞(2010年)、Arthur C. Cope Scholar Award(2011年)、Humboldt Senior Research Award(2011年)を受賞されている。今回の受章は、以上のような功績が高く評価されたものである。